日本気管食道科学会会報
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原著
当科における急性喉頭蓋炎91例の検討
長谷川 恵子櫟原 新平西川 周治東野 正明李 昊哲河田 了
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2013 年 64 巻 3 号 p. 175-181

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抄録
急性喉頭蓋炎は時に気道閉塞を伴う疾患であり,気道確保の適応とタイミングを誤ってはならない。平成13年~平成23年の過去約10年間において,大阪医科大学耳鼻咽喉科にて入院加療を要した急性喉頭蓋炎症例91例について検討した。91例のうち,気道確保を要した症例は9例あり,全体の約10%であった。保存的加療例と気道確保例を比較したとき,初診時症状は摂食障害,呼吸困難感が気道確保例で多く認められた。しかし白血球数やCRP値両者で有意差を認めなかった。気道確保例9例のうち7例が,最初の受診科が耳鼻咽喉科以外であった。症状が出現してから当科を初診するまでの期間は,気道確保例で1.6日だったのに対して,保存的加療例では2.4日であった。喉頭所見を香取らの分類に従い区別すると,気道確保例が全例IIIBであった。すなわち喉頭蓋の腫脹が高度で声帯の半分以下しか確認できずかつ披裂部の腫脹を伴う症例であった。気道確保の方法は9例中8例に気管切開が行われ,6例は局所麻酔下に施行された。気管切開が施行された8例のうち7例は手術室で行われたが,残る1例は救急室で輪状甲状間膜切開が施行された。気道確保の適応を決定するのに喉頭所見が最も重要であるが,症状や経過もその参考になると考えられた。
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