抄録
嚥下障害に対して,効果的で侵襲の少ない内視鏡下輪状咽頭筋切除術を以下の手順で行っている。手技:1.内視鏡下に食道入口部を展開する。2.食道入口部粘膜をCO2レーザーで縦に切開した後,輪状咽頭筋を確認する。3.輪状咽頭筋を把持し筋の後面を広く剥離する。4.咽頭筋膜を明視下に確認し保存する。5.同筋をCO2レーザーで蒸散し粘膜下に大きく切除する。6.縦に切開した食道入口部粘膜を水平に縫合し,食道入口部を広く形成する。本術式は,確実で十分な輪状咽頭筋の切除が可能である。本稿では,輪状咽頭筋の神経支配様式の観点から,本術式の切除効果を免疫組織学的に比較検討した。対象:内視鏡下切除あるいは外切開切除によって輪状咽頭筋切除術を併用した頭頸部癌手術症例から得られた輪状咽頭筋,それぞれ10検体,12検体を対象とした。方法:検体を急速凍結させたのち筋線維中央縦断切片を作製した。アセチルコリンエステラーゼにより染色された神経筋接合部の総面積を画像解析装置にて算出し,2群間で比較した。結果:2群間の総面積に有意差はなかった。結論:本術式は頸部外切開で行う輪状咽頭筋切除術と同等の切除効果が期待できる。