日本気管食道科学会会報
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原著
当院におけるNSTに対応した嚥下外来の現状
大田 隆之西山 耕一郎松井 和夫呉 晃一江洲 欣彦
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2014 年 65 巻 3 号 p. 226-233

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抄録

当院は急性期型の総合病院であり,医療圏は高齢者が多く,高齢者の嚥下障害者や誤嚥性肺炎患者が多く入院している。そのため内科等他診療科から嚥下評価の要求が多く,それに答えるべく2009年4月に嚥下外来を開設した。嚥下外来では,診察時に嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査を行う方針で診療し,2009年4月からの1年間に,初診患者64名,のべ101名の診察を行った。患者の平均年齢は77.2歳であった。嚥下障害の原因は,老人性が最多で,その他に脳血管・神経障害,肺疾患などが続いた。嚥下障害は,咽頭期に関与するものが最多であった。誤嚥があったものは77%で,そのうち食物誤嚥が90%であった。その中に,唾液誤嚥を10%に認めた。嚥下評価を,藤島の摂食・嚥下能力のグレードと嚥下食ピラミッドにて患者本人・家族または主治医に伝える方法が有用であった。嚥下はNST (栄養サポートチーム;nutrition support team) 活動において密接にかかわるものと考えられ,耳鼻咽喉科医はNSTの一員としての嚥下障害診療にかかわるべきと考えられた。

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