日本気管食道科学会会報
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特集:超高齢社会と気管食道科
高齢者の嚥下機能
兵頭 政光
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2014 年 65 巻 5 号 p. 373-378

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抄録

嚥下障害は高齢化社会の到来とともに医療的にも社会的にも大きな問題となってきた。高齢者では生理的に嚥下機能が低下する結果,誤嚥性肺炎の危険性が増大し,高齢者の生命予後を左右する。そこで,加齢による嚥下機能の変化について臨床的観点から述べた。高齢者では,嚥下関連器官の解剖学的および生理学的変化により嚥下機能が低下する。特に咽喉頭の感覚機能の低下や下咽頭収縮筋の機能的変化などによる嚥下反射の惹起遅延,食塊の駆動力低下,食道入口部開大障害が大きな要因となる。これらの障害に対する治療あるいは予防法としては,食物形態の調整,嚥下関連筋の機能訓練,感覚刺激を目的とした薬物療法などが有用と考えられ,今後の臨床研究およびエビデンスの蓄積が望まれる。

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