抄録
中枢気道狭窄は致死的となる場合があり,手術不能な症例には気道インターベンションを駆使して呼吸困難,QOLの改善を得ることが可能である。当科で施行した中枢気道狭窄に対するステント留置術,3Dプリンターを用いた気管支模型作成の有用性を報告する。対象は2005年から2014年までの10年間に中枢気道狭窄に対して気道インターベンションを行った50例 (58回) 。最近,ステント留置前に3Dプリンターで気管気管支模型を作成し,挿入シミュレーションに活用した。疾患の内訳は悪性腫瘍47例,気管支形成後の吻合部狭窄3例であった。ステントの種類はシリコンステントのみ45例 (Y型30例,ストレート15例),シリコンY+金属ステント4例,金属ステントのみ1例。5例にExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO) を使用した。ステント留置後の呼吸困難の改善は42例 (84%) で得られた。悪性疾患47例の中間生存期間は152日 (11~1,417日),1年生存率23.8%であった。ステント留置後に化学療法 (+放射線治療) が行えた26例の中間生存期間は259日で無治療21例の47日より有意に良好であった (p=0.0008) 。中枢気道狭窄に対する気道インターベンションは呼吸困難の改善,追加治療による予後延長に有効である。3Dプリンターによる気管支模型の作成により狭窄の範囲や程度,形状を立体的にとらえ,ステントの径,長さを術前より正確にシミュレーション可能である。