日本気管食道科学会会報
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特集:気管食道科領域における経口的鏡視下低侵襲治療
気管気管支の内視鏡的治療―3Dプリンターによる気管支模型を用いたステント挿入シミュレーション―
山崎 直哉土谷 智史松本 桂太郎宮崎 拓郎下山 孝一郎谷口 大輔小畑 智裕高木 克典渡辺 洋之助町野 隆介朝重 耕一畑地 豪松尾 直門永安 武
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2015 年 66 巻 5 号 p. 341-350

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抄録
中枢気道狭窄は致死的となる場合があり,手術不能な症例には気道インターベンションを駆使して呼吸困難,QOLの改善を得ることが可能である。当科で施行した中枢気道狭窄に対するステント留置術,3Dプリンターを用いた気管支模型作成の有用性を報告する。対象は2005年から2014年までの10年間に中枢気道狭窄に対して気道インターベンションを行った50例 (58回) 。最近,ステント留置前に3Dプリンターで気管気管支模型を作成し,挿入シミュレーションに活用した。疾患の内訳は悪性腫瘍47例,気管支形成後の吻合部狭窄3例であった。ステントの種類はシリコンステントのみ45例 (Y型30例,ストレート15例),シリコンY+金属ステント4例,金属ステントのみ1例。5例にExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO) を使用した。ステント留置後の呼吸困難の改善は42例 (84%) で得られた。悪性疾患47例の中間生存期間は152日 (11~1,417日),1年生存率23.8%であった。ステント留置後に化学療法 (+放射線治療) が行えた26例の中間生存期間は259日で無治療21例の47日より有意に良好であった (p=0.0008) 。中枢気道狭窄に対する気道インターベンションは呼吸困難の改善,追加治療による予後延長に有効である。3Dプリンターによる気管支模型の作成により狭窄の範囲や程度,形状を立体的にとらえ,ステントの径,長さを術前より正確にシミュレーション可能である。
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