2015 年 66 巻 6 号 p. 365-372
喉頭気管分離術は反復性誤嚥性肺炎を完全に防止できる手術として非常に有用である。われわれは,誤嚥防止手術の中で侵襲が比較的小さく,かつ喉頭機能を温存できる方法として,喉頭気管分離術を施行している。症例はLindeman変法が7症例,気管弁法B-typeが7症例,年齢は7カ月から69歳,手術時間は,Lindeman変法が143±39分 (平均±標準偏差),気管弁法は103±23分で,気管弁法はLindeman変法と比較して短かった。カニューレは,成人では呼吸器装着が必要な2症例以外は抜去できたが,小児症例では2例ともカニューレ挿入のままであった。術後合併症は2症例で認め,1例は心不全の悪化による死亡,もう1例は縫合不全,創部の感染のため再手術を要した。気管弁法は声門閉鎖術と同様に,症例によっては局所麻酔下でも手術が可能な低侵襲手術であり,Lindemanの手術と同様に声帯に侵襲を加えず,手術時間の短縮や縫合不全などの合併症低減も期待しうる術式であり,今後の誤嚥防止術として積極的に選択されるべき方法である。