日本気管食道科学会会報
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原著
声門閉鎖術後経過の検討
髙橋 紘樹津布久 崇松村 道哉古田 康
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2015 年 66 巻 6 号 p. 373-379

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抄録

脳血管障害・神経筋疾患等で頻回に嚥下性肺炎を繰り返す症例に対し,さまざまな誤嚥防止術の有用性が報告されている。当科では鹿野らが報告した甲状軟骨・輪状軟骨鉗除と筋弁充填による声門閉鎖術を施行している。本術式の術後経過を検討した。対象は2010年3月から2014年7月までに当科で手術を行った20例 (男性15例,女性5例),年齢の中央値は68.5歳 (16~88歳) であった。米国麻酔学会術前状態分類class 3の重症例が12例と半数以上を占めたが,全例全身麻酔下に手術を行い人工呼吸器離脱困難例は認めなかった。術後の声門閉鎖不全・創感染は認めなかった。人工呼吸器が必要な4例,気管軟化症併存の1例を除き15例でカニューレ不要となった。気管孔が大きく人工呼吸器使用中カニューレが抜けやすくなった1例で気管孔縮小手術を行い,気管孔狭窄の2例で気管孔開大術を行った。気管切開術後の7例では声門閉鎖術後,吸痰回数は著明に減少した。本術式は閉鎖が確実で安全な術式であり,全身状態不良例にも適応可能であった。基本的にカニューレ不要となるが,人工呼吸器使用例では気管孔とカニューレの大きさの適合へ配慮を要すると考えられた。

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