日本気管食道科学会会報
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原著
手術的加療を行った自律性機能性甲状腺結節 (AFTN) の検討
藤原 良平内野 眞也野口 志郎速水 康介北野 睦三寺尾 恭一土井 勝美
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2016 年 67 巻 4 号 p. 272-277

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抄録

自律性機能性甲状腺結節 (autonomous functioning thyroid nodule : AFTN) は,甲状腺の結節性病変が自律性にホルモンを分泌し甲状腺中毒症を呈する病変である。今回われわれは,2004年から2013年までの間に野口病院でAFTNと診断し手術的加療を行った63例について検討した。手術により甲状腺中毒症は全例是正され,合併症として永続性・一過性反回神経麻痺は認めず,永続性副甲状腺機能低下症を3例 (5%),一過性副甲状腺機能低下症を4例 (6%) に認めた。組織型は,単発性の機能性結節53例のうち31例 (58%) が濾胞腺腫であり,多発性の機能性結節10例のうち5例 (50%) は腺腫様甲状腺腫であった。また,機能性結節そのものが癌であった症例が3例 (5%) あり,機能性結節そのものは良性であったが癌を合併していた症例が15例 (24%) あった。AFTNの治療としては,手術的加療や131I内用療法が主体となるが,このことを十分ふまえた上で治療方法を選択する必要がある。

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