2016 年 67 巻 6 号 p. 412-417
下咽頭に発生する腫瘍は発育・増大してくると突然に呼吸障害や嚥下障害をきたすものもある。今回われわれは下咽頭に基部を持つ有茎性腫瘍3例に対して経口的に摘出術を施行した。いずれの症例も初診時には腫瘍が食道に陥入しており,腫瘍の形態を把握することができなかった。摘出した腫瘍はいずれも可動性のあるソーセージ様の形態の腫瘍であり,喉頭に嵌頓すると突然に窒息する危険があるものであった。また1例は摘出後に脂肪肉腫であることがわかった。窒息の危険性や組織診断の点から,良性が疑われても摘出術の適応であると考えられた。