日本気管食道科学会会報
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原著
片側性声帯麻痺に対するdouble-bent Cathelin needleを用いた声帯内カルシウムハイドロキシアパタイト注入術の臨床的検討
野本 剛輝渡嘉敷 亮二平松 宏之許斐 氏元本橋 玲櫻井 恵梨子豊村 文将上田 百合庄司 祐介服部 裕之縣 愛弓小川 恭生塚原 清彰
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2017 年 68 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

われわれは声帯内注入術をdouble-bent Cathelin needleを用いて行ってきた。他の注入方法と異なり外来にて表面麻酔下に患者の声を聴きながら行えることが利点であり,入院治療が困難な患者や頸部外切開を希望しない患者に有効である。われわれは自然回復が望めない片側声帯麻痺の患者に対して長期間作用型であるカルシウムハイドロキシアパタイト (RADIESSE®) を用いている。本製剤は他のカルシウムハイドロキシアパタイトとは異なり,あえて吸収されるように作られており,1年から1年6カ月効果が持続するといわれている。今回RADIESSE®による声帯内注入術の長期経過を検討した。

発症後1年以上経過している片側声帯麻痺9例を対象とし,GRBAS評価,MPT,MFR,VHI-10で検討した。GRBAS評価のA (asthenic,無力性),S (strained,努力性),MPTとVHI-10は術後全例で改善していた。GRBAS評価のG (grade),R (rough,粗造性),B (breathy,気息性) とMFRは7例中6例 (85.7%) で改善していた。長期間効果が20カ月持続している例も散見された。また,過剰注入や注入部位を誤ったことによる声の悪化例はなかった。われわれは患者の声を聴きながら注入量を決めているためそのような例はなかったと考える。さらに注入後の3DCTを検討した。

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