日本気管食道科学会会報
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原著
扁桃周囲膿瘍のCT所見と臨床経過
岡 愛子牧原 靖一郎
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ジャーナル 認証あり

2017 年 68 巻 3 号 p. 217-221

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抄録

扁桃周囲膿瘍の治療として抗菌薬などによる保存的治療,穿刺もしくは切開排膿,全身麻酔下での即時膿瘍扁桃摘出術 (膿瘍扁摘) がある。治療が有効でない場合には深頸部膿瘍や縦隔炎などで致死的となることがあり注意が必要である。今回,造影CT所見と治療法の選択,臨床経過について検討を行った。対象は2013年1月から2016年4月に当院を受診し,造影CTで扁桃周囲膿瘍を認めた100例とした。CT軸位断で膿瘍腔の最大径を計測し,計測部位が口蓋垂末端よりも頭側にあるものを上極型,尾側にあるものを下極型とし,膿瘍径,喉頭浮腫の有無,治療法,治療期間を検討した。上極型の方が膿瘍径は大きかったが,喉頭浮腫は下極型で多かった。保存的治療とした症例は全例膿瘍径16 mm以下であり,膿瘍扁摘や穿刺・切開の症例と比較して小さかった。上極型では穿刺・切開で十分排膿可能であり,膿瘍扁摘により治療した症例と比較して治療期間が短く,最も多く選択された治療法であった。下極型では膿瘍扁摘と穿刺・切開で入院期間に差がなく,膿瘍径の大きな症例では確実な排膿が可能で再発防止になる膿瘍扁摘を選択した症例が多かった。

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