日本気管食道科学会会報
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症例
持続性吃逆を認めた喉頭帯状疱疹の2例
井上 大介金谷 洋明後藤 一貴平林 秀樹春名 眞一
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2018 年 69 巻 6 号 p. 356-363

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抄録

嚥下障害とともに持続性吃逆を呈した喉頭帯状疱疹の2例を経験した。症例1は59歳男性。咽頭痛と嚥下障害を主訴に受診。喉頭内視鏡では喉頭蓋喉頭面の正中から右側と右披裂部粘膜に白苔の付着を認め,右声帯は傍正中位にて固定していた。症例2は69歳男性。咽頭痛と嚥下障害の後に左顔面運動障害をきたし,受診した。左耳介に帯状疱疹と見られる小丘疹を認め,高度の左顔面神経麻痺を伴っていた。喉頭内視鏡では喉頭蓋喉頭面の正中から左側と左披裂部粘膜に片側性に白苔の付着が見られ,左声帯は傍正中位にて固定していた。嚥下障害が軽快してきた頃から上記の2例とも遷延性吃逆が見られた。嚥下造影検査を施行したところ,これらの2例とも食道胃移行部に明らかな造影剤の停留が観察された。吃逆は種々の薬物療法に抵抗性であったが,症例1では11日後に,症例2では18日後に自然消退した。本報告では,喉頭帯状疱疹の初期治療における問題点につき文献をもとに再考した。加えてVZV感染における下部食道の病態を,持続性吃逆の発生機序と絡めて解剖学的,生理学的な側面から考察した。

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