日本気管食道科学会会報
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症例
気管挿管後に生じた甲状披裂筋麻痺4症例の検討
茂木 麻未宮本 真渡邉 格中川 秀樹齋藤 康一郎
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2020 年 71 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

甲状披裂筋麻痺,いわゆる内筋麻痺とは部分的喉頭麻痺の一つで,比較的稀な病態とされている。一般的に,気息性嗄声を示し,喉頭内視鏡所見では声帯の内転外転運動は正常であるが,患側声帯の弓状弛緩と発声時の声門間隙を認める。確定診断には喉頭筋電図が必要とされている。今回われわれは,挿管後の気息性嗄声を主訴に当科を受診し,喉頭筋電図により甲状披裂筋麻痺と診断できた4症例を経験した。4症例中3症例は右側,1症例は左側の麻痺であった。喉頭内視鏡所見は声帯の内転外転運動は正常であるが,患側声帯の弓状弛緩を認めた。喉頭筋電図にて,患側の内筋で筋放電の消失を認め内筋麻痺と診断した。4症例全例内服加療を行わずに経過観察とし,2カ月から4カ月(平均3カ月)で自然軽快した。内筋麻痺は喉頭筋電図で診断をして,基本的には経過観察のみで回復すると考える。

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