日本気管食道科学会会報
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原著
咽喉頭食道異物を主訴に受診した1714例の検討
齋藤 善光春日井 滋稲垣 太朗望月 文博明石 愛美宮本 康裕岡田 智幸肥塚 泉
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キーワード: 異物, 魚骨, 自覚症状, 合併症, CT
ジャーナル 認証あり

2021 年 72 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

2011年4月~2019年3月の8年間に咽喉頭食道異物を主訴として当院を受診した1714例を対象として検討した。そのうちの60.1%の1040例で異物が同定された。異物の種類は魚骨が,異物同定部位は口蓋扁桃が最多を示した。嚥下時痛・咽頭痛の自覚症状と異物の有無との間には,有意な関連を認めた。左右の自覚症状と異物の同定部位との一致は90%を超え,垂直方向の自覚症状では,自覚症状が口腔であれば,91.4%で口蓋扁桃に存在した。合併症は4.6%で認められ,ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析で合併症に影響を与える因子を評価した。異物同定が可能であった全例では年齢,受傷期間,異物の種類(義歯),異物同定部位(食道)が,魚骨例に限った評価では,年齢,受傷期間,異物同定部位(食道)が影響を及ぼす因子となった。咽喉頭食道異物例を診察する際は,自覚症状を確認することで,異物同定や摘出までの時間短縮,見落としの減少にも繋がる可能性があるため,問診によって得られる情報の重要性が示唆された。

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