日本気管食道科学会会報
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セミナー(3)気道系「新型コロナウイルス感染症とCOPD・喘息」
新型コロナウイルス感染症とCOPD・喘息
黒澤 一
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ジャーナル 認証あり

2021 年 72 巻 2 号 p. 98-103

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抄録

COPDは代表的なたばこ疾患で,知らず知らずのうちに肺機能が低下する。高血圧,糖尿病,心疾患のなかに潜むことがあり,疑わしい症例には呼吸機能検査が必要である。一方,喘息は気道過敏性に抗原,運動,寒冷刺激,微粒子などが加わり,慢性の気道炎症を背景に平滑筋の収縮を伴う気道閉塞をきたす。現在世界中で流行している新型コロナウイルス感染症は,飲酒を伴う懇親会など5つの場面で感染リスクが高まることが指摘され,その重症化にCOPDが重要視され,重症化した患者では血管系の悪化が報告されている。また喘息患者は罹患しにくいという報告があるが,罹患時の重症化が指摘されており,COPD同様に注意が必要である。感染症の重症化を防ぐためには,禁煙のうえCOPDや喘息の治療を適切に行うことと,身体活動や規則正しい生活を維持して気道粘膜の自然免疫を高めることが肝要と考えられる。

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