日本気管食道科学会会報
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原著
切除不能食道扁平上皮癌に対する食道バイパス術20例の治療成績
金森 淳渡邊 雅之丸山 傑蟹江 恭和藤原 大介坂本 啓岡村 明彦今村 裕
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2022 年 73 巻 3 号 p. 203-209

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抄録

切除不能食道癌はしばしば狭窄や瘻孔を伴い,高度のQOL低下を招く。近年低侵襲なステント留置が選択されることが多く,バイパス手術を施行する機会は減ってきているのが現状である。今回当院で施行した20例を対象とし,術前因子(気道瘻孔の有無/modified Glasgow prognostic score(mGPS)/prognostic nutritional index(PNI))と術後合併症発生率,dysphasia score(DS)の変化につき,後方視的に検討した。術後在院日数は中央値19日(12–62),在院死亡は認めなかった。術後肺炎を認めた4例は,全例とも術前瘻孔を有し,さらに術前PNIは40未満であった(p=0.07)。縫合不全を認めた3例中2例はmGPS 2と低値であった(p=0.06)。経口摂取は退院時に,16例(80.0%)でDS 1(全粥摂取)以上の改善を認めた。術前からの気道瘻を認める症例やPNI 40未満の症例では慎重な術式決定および術後管理を要する。

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