2023 年 74 巻 3 号 p. 209-218
一側声帯運動障害の原因の一つとして披裂軟骨脱臼が鑑別にあがるが,その診断は容易ではない。われわれは喉頭内視鏡所見および発声時と吸気時(安静時)の3DCTにより診断している。喉頭内視鏡で脱臼を疑った症例であっても実際に脱臼の症例は非常に少ない。今回,過去の披裂軟骨脱臼の文献を渉猟し,文献内の喉頭内視鏡所見やCT所見から脱臼の診断について検討した。文献内の情報では判定ができない症例が多いが,最新の知見から改めて検討すると,脱臼と考えられていた症例の多くは,声帯麻痺であった可能性が考えられた。