日本気管食道科学会会報
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症例
輪状甲状膜切開キットの気管カニューレが誤挿入された2症例
鈴政 俊, 宇野 光祐, 塩谷 彰浩, 荒木 幸仁
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2025 年 76 巻 6 号 p. 339-345

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抄録

輪状甲状膜切開キットは緊急時の気道確保や術後の気道分泌物を吸引する目的として,主に使用されている。輪状甲状靭帯穿刺・切開術を簡便に行える一方で,処置に伴う出血や縦隔気腫,気胸,声帯麻痺などの合併症も報告されている。今回われわれは,輪状甲状膜切開キットの気管カニューレが誤挿入された2症例の対応を経験したので報告する。症例1は肺腫瘍に対する術後の吸痰目的に輪状甲状膜切開キットが使用されたが,気管カニューレが気管後壁を貫通し右胸腔内に迷入していた。症例2は膵頭部癌に対する術後の吸痰目的に同処置が行われたが,気管カニューレが声門上部から声門下部に向かって挿入されていた。いずれも穿刺部位や方向,挿入後の確認が不十分であることが原因であった。当科へのコンサルテーション同日に誤挿入された気管カニューレを抜去し,外科的気管切開術を行って対応した。われわれは気管食道領域の診療に携わる医師として,輪状甲状膜切開キットの特徴を理解し,合併症の対応を迅速で正確に行うこと,さらにキットの取り扱いについて広く啓蒙することが重要であると考えられた。

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