抄録
音楽教育を受けた女性被験者に対して,吹奏楽曲一曲(「アパラチアン序曲」(バーンズ作曲))を2週間(聴取回数:1回/日)にわたり聴取させ,聴取中の心拍変動(HRV)の経日変化についての知見を得ることを目的とした.聴取中のHRVについては,耳たぶより収集された脈波情報のR-R間隔を算出することにより求めた.さらに,そのデータの線形補間を行うことにより,100ms間隔のHRV時系列データとした.得られたHRV時系列データについては,FFTによるパワースペクトル解析を行い,低周波数領域の成分(LF:0.04-0.15Hz)および高周波数領域の成分(HF:0.15-0.4Hz)を抽出した.その結果,副交感神経系の亢進の指標とされているHF成分が,聴取回数の増加と共に直線的に増加することがわかった.