抄録
聴覚と視覚は相補的な情報源であり、生活雑音を記録すれば、ありふれた日常を監視する映像の中から、気になるイベントを切り出す作業の時間節約になるかも知れないし、人物を特定しないのでプライバシー重視の見守り技術に発展するかも知れない。先行研究では室内でのヒトの在/不在状況について、1オクターブ帯域幅の濾波波形の中に含まれる極値数を使用して観察した。本研究の目的は、大学の廊下を7日間に亘りマイクロフォンと焦電型赤外線センサーで同時計測し、ヒトの往来が極値数の変化として検出できるかを検証することである。2,560-5,120Hz帯域での極値数の記録は、音圧(2乗平均振幅)を指標にした騒音計測と比べて日内変動が狭いので取り扱いが容易であり、合計990回発生した赤外線検出イベントの内、音圧では約7割の687回、極値数では9割の891回が音響イベントとして観察された。