抄録
先行研究では帯域制限波を合成するに当たり、1オクターブ帯域のフィルタリング前処理を提案した。本研究では通過帯域幅や、極値間をつなぐ補間曲線を変化させた場合、および極値の推定処理を実施した場合の合成波形と、元の帯域制限波との差異を、正規化した二乗誤差により考察した。先ず、通過帯域幅を0.1から3.0まで0.1オクターブ刻みで変化させた場合の誤差を算出したところ、1オクターブ幅の合成波形と比較して、誤差の変化量は1.2%以下に留まった。次に、適用した6種類の補間関数の中では、正弦波を使用した場合の誤差が最小となった。最後に、極値を推定した場合は2,560Hzまで両波形は一致したのに対して、極小値を代用した場合は僅か160Hzまでしか一致しなかった。これは先行研究と併せて考えると、音質を保持したまま、異なる形状の波形を合成できる可能性を示唆している。