抄録
静脈穿刺は臨床上頻繁に施行される処置の一つである.一方,穿刺のリスクにより,学生同士の採血実習は実施困難であり,静脈採血モデル(以下,モデルとする)を使用する場合が多い.しかし,モデルが人体の特性を表現できていない等の問題が報告されており,人体と比較し得られる技術は限定的である.そのため,より人体に近いモデルの製作が望まれている.そこで本研究では,現状のモデルに対し三軸力覚センサを用いた穿刺実験を行うことで,針先がモデルに加える垂直方向の力,水平方向のトルクを測定し,判別分析の手法を用いてモデルの評価を試みた.その結果,各モデルの特性の判別が可能であったため,人体に近いモデルがどのような特性を持つかを客観的に推定する可能性が示唆された.