2020 年 22 巻 2 号 p. 53-58
本研究の目的は,精神疾患患者を対象に嚥下訓練として行ったパタカラ体操の効果を明らかにすることである.入院治療を受ける精神疾患患者に,6 ヶ月間,パタカラ体操を毎日行った.パタカラ体操導入の前後に口腔機能測定機器を用いて,「パ」「タ」「カ」の発音回数を測定した.その結果,精神疾患患者31 名の測定したデータを分析した. 研究対象の精神疾患患者は,「パ」「タ」「カ」の発音回数が低く,口腔機能低下の状況が考えられた.6 ヶ月間のパタカラ体操の効果として,「パ」「タ」「カ」の発音回数が有意に向上していた.「パ」「タ」「カ」の発音回数は,1 つの発音回数が多いと他の発音回数が多くなる傾向があった.精神疾患患者がパタカラ体操を続けることで,嚥下状態が向上する可能性が示唆された.