抄録
近年、ファジィ理論やニューラルネットワークを診断支援に応用する試みが報告されているが、臨床家に幅広く認知されているわけではない。一般的な臨床家にはファジイやニューラルネットワークの理論は難しく、また診断支援システムを開発する技術もないためである。そこで、著者らは日常の臨床経験を元にした簡潔な推論を設定するだけで、診断支援が最適化される手法を提案する。それは標準的なPC環境で運用でき、一般的なアプリケーションを利用するので、プログラミングの知識がない者でもシステムを構築できる。また、内部的にはファジィ理論にニューラルネットワークのアルゴリズムを組み合わせたadaptive neuro-fuzzy inference system (ANFIS)を応用しており、最初に暫定的に設定されたメンバシップ関数がニューラルネットワークのバックプロパゲーションにより自動的に最適化され、診断支援システムが向上されるようになっている。今回はその概要を超音波診断への試用を例に解説する。