コントラストの異なる視覚刺激に対する脳活動を,機能的MRIを用いて計測し比較した.刺激は切れ目の位置が異なる4種類のランドルト環である.被験者(11名)はプリズム眼鏡を装着し仰臥して刺激を見ながら1回の測定で2つの課題を交互に行なった.課題Aは,呈示されたランドルト環を眺めるだけで,任意のタイミングで時々ボタンを押す.課題Bはランドルト環を注視して,指定された位置に切れ目のあるランドルト環が呈示されたらすばやくボタンを押す.課題Aと課題BのBOLD信号強度を比較した.同一被験者に対して,刺激のコントラストを変えてこの測定を行い,統計処理ソフトSPM99を使って有意な賦活反応を標準脳に描画した.高コントラスト刺激では,後頭回が,低コントラスト刺激では前頭前野と上頭頂小葉が賦活した.この賦活反応の変化が視認性の違いを反映していると考えた.