抄録
現在の筋電義手は,切断部における残存筋の表面筋電位と義手の動きの間に一定のルールを設ける方法を採用しているので,損失部位が増えるにつれて複雑な操作を行わせることは非常に困難になる.本研究の目的は,肘や肩まで損失した高位切断者が使用できる,多自由度の筋電義手を実現することである.この問題を解決するために,両腕の動作間の協調関係を利用して,健常腕の動作から義手に求められている動作を推定し,これを目標値として制御する方法を提案した.そのためにこのような複雑な協調関係を学習するボルテラニューロンネットワークを使用して,人間の日常動作についてシミュレーションを行った.その結果,義手に求められる動作とほぼ一致する動作が生成でき,本システムの有効性が確かめられた.