2023 年 49 巻 3 号 p. 133-137
塩化ベンザルコニウム (Benzalkonium chloride:以下BZK) は, Covid-19感染症の拡大により市民生活に身近になった. 今回, 自殺企図目的でBZKを皮下注射した症例を経験したので報告する.
症例は50歳, 女性. 自殺企図目的に10%BZKを左手背部と肘窩部に皮下注射した. 来院時, 左手背部は発赤, 左肘窩部は硬結のみであり, 冷却とステロイド軟膏の外用を行った. しかしながら, 両創部ともさらに発赤と腫脹が拡大したため, 第10病日に切開したところ凝固壊死した脂肪組織が広く存在しており, デブリードマンと局所陰圧閉鎖療法を行った. 第29病日, 左手背創部の一部は縫合し, 残存した皮膚欠損部は人工真皮を貼付し, 局所陰圧閉鎖療法で固定し, その後, 瘢痕治癒した. 左肘窩部創部は縫合ができた.
化学物質を皮下注射した場合, 皮膚所見に乏しくとも積極的な切開とデブリードマンが必要である.