2023 年 49 巻 5 号 p. 252-256
膝関節の前面は軟部組織が薄く, 深達性熱傷などの外傷や軟部組織腫瘍切除により骨や関節の露出を伴う場合もあり, 膝関節周囲の再建においては関節の運動制限を生じないような適切な広さと厚さの組織を用いる必要がある1). さらに再建にあたっては露出部であるため再建後の皮膚の色調など整容的な面の配慮も必要となる2). 今回われわれは, 膝蓋部に生じた接触熱傷2例に対して, 上外側膝皮弁 (superior lateral genicular artery flap:SLGA flap) で再建を行い, 感染や膝関節の可動域制限なく経過し良好な結果を得られたため, 文献的考察を加え報告する.