2013 年 53 巻 February 号 p. 29-32
要 旨:血清腫はexpanded polytetrafluoroethylene人工血管を用いたグラフト内シャントに発生する合併症の1つとして知られており,さまざまな治療方法が行われては再発し,しばしば治療に難渋することがある。われわれは,前腕グラフト内シャント作成後2週間に発生した血清腫に対して血清の漏出を止める治療を行ったが,感染を合併したためにグラフトを抜去,新たに上腕グラフト内シャントを作成したが,約3カ月後に再び血清腫を合併し,ポリウレタングラフトによる人工血管部分置換術を施行した症例を経験したので,グラフト血流量の変化の観点から若干の文献的考察を加えて報告する。