患者は61歳女性,最大短径66 mmの肺動脈瘤と進行する肺動脈弁逆流症の診断で手術方針となった。肺動脈瘤人工血管置換術および,肺動脈弁人工弁置換術を施行した。肺動脈瘤は極めて稀な疾患で手術適応も含め明確な治療指針がなく,各症例ごとに十分な検討が必要である。同時に希少疾患であるため手術手技を熟練することが難しく,さまざまな工夫が必要であると考えられた。
骨内静脈の還流異常による前脛骨部静脈瘤の治療を2例経験した。症例1は62歳男性で,10年前から左脛骨前面の一部突出していた箇所があったが,1カ月前疼痛を自覚した。CTで左脛骨を貫通するように拡張した静脈を認め,外科的加療で症状は改善した。症例2は74歳女性で,2週間前から右下腿の疼痛を認めた。エコーで骨皮質欠損から逆流する血流とCTで脛骨を貫通する静脈を認め,こちらも外科的加療で症状が改善した。骨内静脈還流異常であるbone perforatorsが原因の前脛骨部静脈瘤は比較的稀な疾患である。