血栓性下肢動脈閉塞症に組織型プラスミノゲンアクチベータalteplaseを用いたカテーテル血栓溶解療法(CDT)を施行した連続18例(年齢68±9歳)を検討。CDT継続期間は中央値1(1–3)日。alteplase持続投与量は0.0087±0.0016 mg/kg/hr。術後30日での主要下肢有害事象は大切断1例のみでBARC 3a, bは7例に認めた。一方,17例で造影上の再灌流成功(TIPIスコア2以上)が得られた。
ベーチェット病患者のスタンフォードA型急性大動脈解離の一手術例を経験した。血管の脆弱性を考慮した術式と,術後に吻合部仮性瘤の発生予防のため,ステロイドと,抗ヒトTNFαモノクローナル抗体(レミケード)により炎症を厳格にコントロールした。その結果,術後7年間,仮性瘤の発生を認めず良好な経過を得ている。本症例は,ベーチェット病合併大動脈解離に対する外科的治療と周術期の強力な炎症制御が重要であった。
重複大動脈瘤は治療方針に関して議論の多い疾患である。症例は72歳,女性。Stanford B型急性大動脈解離を契機に発見された重複大動脈瘤に対し分割手術を施行した。腕頭動脈瘤,胸部大動脈瘤に対する弓部置換術を先行した。腹部大動脈瘤の治療待機中に破裂をきたし,腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR: Endovascular Aortic Repair)を施行した。分割手術では残存瘤の治療待機中に瘤径の拡大や破裂をきたす場合があり,慎重な経過観察と早期の治療が必要である。
18歳男性。巨大前縦隔腫瘍(悪性胚細胞腫)に伴う上大静脈症候群を発症。化学療法後に腫瘍摘出術施行も器質化血栓疑いによる閉塞で右上肢,顔面の浮腫と頭重感が持続。上大静脈から右鎖骨下静脈,内頚静脈の長区域閉塞であったがmulti-directional approachと血管内超音波ガイドテクニックで再疎通成功。ステント留置せず。1か月後に右鎖骨下静脈再治療を要したが,その後症状再発無く経過している。
症例は85歳男性。慢性Stanford B型大動脈解離に伴う解離性大動脈瘤の拡大を認めた。高齢かつ肺気腫外科手術高リスクと判断し血管内治療を選択した。近位entry閉鎖目的にPhysician-modified thoracic endovascular aortic repair (PM-TEVAR),遠位偽腔閉鎖目的にCandy Plug法を併用した。術後造影CT検査にて偽腔血流の消失および血栓化を確認した。解剖学的に通常TEVARが困難で,entry閉鎖のみでは十分な治療効果が期待しにくい慢性B型大動脈解離に対し,本手法は有用な治療選択肢と考えられた。