Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
ISSN-L : 1345-8647
近赤外スペクトルを用いた果物の内部品質解析
山下 洋輔荒川 正幹船津 公人
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2011 年 12 巻 p. 37-46

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抄録

りんごについて測定された近赤外スペクトル用いて、内部品質である糖度および蜜・褐変の有無を推定する情報化学的手法の確立を行った。糖度に関しては、近赤外スペクトルを説明変数、糖度を目的変数とした回帰モデルを構築した。遺伝的アルゴリズムを応用した領域選択手法であるGenetic Algorithm-based Wavelength Selection (GAWLS)法を適用し、従来手法であるGenetic Algorithm-based Partial Least Squares (GAPLS)法によるモデルとの比較を行った。その結果、GAWLS法によるモデルの精度は従来手法と同程度であったが、糖度を説明するために重要である波長領域を明確に特定することが可能であることが示された。蜜・褐変の有無に関しては、GAWLS法をk-Nearest Neighbor (k-NN)法と組み合わせることでクラス分類問題へと適用する新規手法を提案し、k-NN法およびSupport Vector Machine (SVM)によるモデルとの比較を行った。その結果、糖度に関する解析と同様に、GAWLS法は重要な波長領域を明確に求めることが可能であった。以上の結果から、GAWLS法は近赤外スペクトルを用いた果物の内部品質解析において有用な手法であるとの結論が得られた。

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© 2011 日本化学会
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