Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
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C-H結合解離エンタルピー計算による含フッ素蟻酸エステルのOHラジカル反応速度推算
浦田 新吾内丸 忠史Asit K. Chandra高田 章関屋 章
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2001 年 2 巻 p. 45-51

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抄録

密度汎関数法を用いて算出したC-H結合解離エンタルピー(Bond Dissociation Enthalpy : BDE)から、含フッ素エーテル(HFE)の分解生成物である含フッ素蟻酸エステルのOHラジカルとの反応速度(kOH)の推算を検討した。BDEの算出には閉殻系にRB3LYP法、開殻系にはROB3LYP法を適用し、基底関数は6-311G(d,p)を用いた。BDEは水素引き抜き反応の活性化エネルギー(Eact)と相関があることが見出されているが、含フッ素蟻酸エステルに関してはEactの実測値が報告されていないため、G2(MP2)レベルで算出されているCF3OC(O)Hの構造異性体syn、antiの活性化エネルギーを用い、EactとBDEとの関係式を導出した。また、比較的計算負荷の少ないUHF/6-311G(d,p)レベルを用いてCnF2n+1OC(O)H; (n=1-4)のOHラジカルとの反応速度を250-400Kの間で求め、頻度因子(A)を算出した。その結果、頻度因子が鎖長に依存せずほぼ等しいことが確認されたため、G2(MP2)レベルで算出されているCF3OC(O)Hのsynとantiの頻度因子をその他の含フッ素蟻酸エステルにも適用した。この頻度因子とBDEから推算されるEactを用い、syn、antiの存在比を考慮して、CnF2n+1OC(O)H;(n=2-4)、CnHF2nOC(O)H;(n=1-3)の298KにおけるkOHを推算した。

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© 2001 日本化学会
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