日本補完代替医療学会誌
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原著
補完代替医療としての音楽療法が認知症に及ぼす効果
高田 艶子岩永 誠
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2014 年 11 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

本研究は,認知症高齢者を対象として,補完代替医療 (CAM) としての音楽療法がその行動・心理症状 (behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD) のうちアパシーに与える効果を検証することを目的とした.平均年齢 85.9 歳の施設の認知症高齢者 20 名に,なじみの音楽による集団音楽療法を隔週で 8 ヶ月間,合計 10 回実施した.その結果,対象者全体では「情動反応」領域の歌唱,リズム,身体運動に有意な改善が認められ,「社会性」領域の集中力に改善傾向が認められた.アルツハイマー型ではリズム,集中力の改善および歌唱と参加意欲に改善傾向が認められたが,脳血管型では改善が認められなかった.このことから,音楽療法は認知症高齢者,特にアルツハイマー型のアパシーの側面に見られる BPSD 軽減に役立ち,QOL の向上に結びつくものと考えられ,薬物療法の補完代替医療法として有効であることが示唆された.

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© 2014 日本補完代替医療学会
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