2015 年 12 巻 2 号 p. 73-78
高齢化社会を迎え,認知症などの脳疾患に対する治療が必要とされている.筋肉の疲労や障害に対して手技マッサージが血行を促進するように,今回我々は浸透度が大きい長波超音波(30 kHz,2 mW/cm2以下)の経頭蓋微弱超音波振動刺激装置を用いて,健常者の頭蓋前頭部あるいは後頭部から照射することで,脳の血流がどのように変化するかを検討した. 方法は,本装置を前頭部あるいは後頭部に装着して,振動させる前後での脳内血流変化を測定した.すなわち,健常成人において,まず前頭部のみの照射でXeガスX線CT画像による測定を行い,次に,前頭部と後頭部の照射によるSPECT画像の変化を測定した.その結果,本装置の発する数ミリワットの微弱超音波振動により,脳血流量が増加することが示された.