土木学会論文集A1(構造・地震工学)
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ISSN-L : 2185-4653
和文論文
応答変位法を用いた円筒地中構造物の縦断方向の耐震性評価に関する波動論的考察
保田 尚俊塚田 和彦朝倉 俊弘
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2018 年 74 巻 1 号 p. 44-57

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抄録

 無限に広がる地盤内に存在する円筒形線状地中構造物に地震波が入射した際,その構造物に生じる軸直交方向の変形を応答変位法により評価することに関して,弾性波動論にもとづき再考した.その結果,次のことが明らかとなった.構造物を円筒シェル,周辺地盤を各方向に独立な軸方向と軸直交方向の2つの地盤ばねで表し,入力する地盤変位を適切に扱った応答変位法は,構造物に生じる変形を上手く表現でき,弾性波動論の厳密解とも良く一致する.一方,従来の構造物を梁とするモデルでは,構造と地盤の境界面における軸方向の力の釣り合いを無視しているので,軟質地盤内の円筒地中構造物に対してS波が浅い角度で入射するような,軸曲げ変形によって構造物に大きな軸ひずみが生じる場合では,構造物に生じる軸ひずみを過大評価することとなる.

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