2017 年 14 巻 2 号 p. 77-82
目的:栄養過多・運動不足等によるメタボリックシンドローム (MS) の患者数・その予備軍が増加し,大きな社会問題となっている.今回,ブラジル産プロポリスについて,MSの予防効果を検討した. 方法:糖尿病の予防では,α-グルコシダーゼ阻害活性及びマウスのスクロース負荷試験を行った.肥満に関しては,前駆肥満細胞3T3-L1細胞を用いて,脂肪蓄積試験,グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ (GPDH) 活性試験及びアディポネクチン放出量を測定した. 結果・考察:α-グルコシダーゼは,キク科Baccharis属植物を基原とするものに抑制効果が認められた.マウスを用いたスクロース負荷試験でも,糖の吸収を抑制することが示された.MSに対しては,2種のプロポリスが脂肪蓄積を抑制しGPDH活性を抑制したが,全てのプロポリスはアディポネクチン放出量に影響を及ぼさなかった.プロポリスの中には,基原植物によってはMSの発症を予防する可能性があることを明らかとした.