日本補完代替医療学会誌
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総説
音楽療法の現状
板東 浩
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2008 年 5 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

現在,補完代替医療 (CAM) の一つとして音楽療法 (music therapy, MT) が注目されている.同療法には広義でレクリエーションなどを主とする音楽健康法と,狭義で治療の視点を有する狭義の音楽療法がある.セッションにより単に良くなったという判断は不十分で,何らかの評価法で改善したというエビデンスや効果の判定が必要となる.音楽を聴取する受容的音楽療法と,カラオケなどの歌唱や楽器演奏などを行う能動的音楽療法に大別される.対象者としては,小児や精神疾患患者,高齢者,認知症などがあり,本邦では高齢者対象の場合が多く,ニードが高い.高齢者では認知レベルや QOL, ADL の変化を評価し,療法の効果を判定すべきである.近年 MT と他の CAM との併用が行われ,行政の見地からも,展開する余地が残されている.今後は CAM の中で MT の重要性が増し,evidence-based MT ならびに narrative-based MT の両者で研究の発展が望まれる.

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© 2008 日本補完代替医療学会
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