前立腺癌には男性ホルモン除去療法 (ADT) が有効であるが,疲労感,筋力低下,脂肪蓄積,骨量低下,ADL および QOL の低下など副作用が問題となっている.本研究では ADT 中の前立腺癌患者に対してレジスタンストレーニングを実施し,生化学検査および腫瘍マーカー等の推移から,その有効性と安全性につき検討した.
転移を有していない患者 10 名(年齢 59–82 歳)を対象とし,12 種目の全身の筋力トレーニングを 20 週間実施した.トレーニング開始前後に,体力,筋機能,骨密度,生化学検査,腫瘍マーカー,ホルモン,サイトカインの血中濃度等を測定した.
その結果,各腫瘍マーカーは変化しなかったが,筋力及び筋持久力は有意に上昇し,血中インスリン濃度は低下した.
結論として,レジスタンストレーニングは ADT の副作用を軽減させ,安全に実施でき,インスリン抵抗性を改善する可能性が示され,ADL および QOL も改善し,有用と考えられた.
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