日本補完代替医療学会誌
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原著
マウス低酸素脳虚血障害に対する霊芝菌糸体培養培地抽出物の保護効果
岡崎 真理岩田 直洋堀内 重紀神内 伸也鈴木 史子飯塚 博日比野 康英
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2008 年 5 巻 2 号 p. 153-162

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抄録
脳虚血では,局所における過剰の活性酸素種の産生によりアポトーシスが誘発される.本研究では,酸化ストレスによる神経障害に対する霊芝菌糸体培養培地抽出物 (WER) の保護効果について,培養細胞およびマウス脳虚血モデルを用いて検討した.
PC12 細胞に H2O2 処理を行い,誘発される細胞死に対する WER の作用を MTT assay および TUNEL 法により評価した.また,マウスに WER (1 g/kg) を単回または 7 日間経口投与した後,低酸素脳虚血処置を行い,神経症状,脳梗塞巣体積およびアポトーシスの評価を行った.
PC12 細胞を用いた実験において,WER は H2O2 処理後の細胞生存率を上昇させ,アポトーシス陽性細胞数を減少させた.WER を 7 日間経口投与したマウス群では,対照群と比較し,虚血後の神経症状の改善が認められ,また脳梗塞巣体積およびアポトーシス陽性細胞数が有意に減少した.これらの結果から,WER は酸化ストレスによるアポトーシスを抑制し,脳虚血障害に対して保護作用を示すことが示唆された.
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© 2008 日本補完代替医療学会
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