抄録
現代医療に何か(現行では科学的根拠が得られていないもの)を上乗せして,患者の QOL の改善を図ろうとする“補完医療”が注目されている.その補助的手段として,生物学的療法と称する,サプリメントや機能性食品などが多用されている.これらは食に含まれる,生体制御や防禦に関する三次機能に特化したものであり,それらの生体内での機序として,消化管における粘膜免疫との関連が重要である.生体での最大の免疫系である消化管の免疫は,これまでブラックボックスであったが,自然免疫の仕組みが解明されてくるに従って,その重要性がクローズアップされてきた.
本稿では,消化器疾患の中で,若年で発症し,再燃・緩解を繰り返し難治性で,慢性の経過をたどる炎症性腸疾患を取り上げ,粘膜免疫機構からみた補完医療の取り組みについて論じてみたい.