原価計算研究
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IoT機器を活用して製品の原価を見える化するシステムの実証実験
曽根 健一朗林 英夫
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2019 年 43 巻 2 号 p. 21-27

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抄録

 近年,IoT (Internet of Things) 機器を利用した取り組みが製造業の間で広まっている。工作機械メーカによる工作機械のIoT 化の推進に加え,安価なセンサ等を利用した企業独自の取り組みが増えており,それに伴いIoT データの活用法も多様化し,複雑化している。  一方,今までの原価管理においてはIoT を用いたリアルタイムデータの活用が進んでいない。工場のIoT 化の推進によるリアルタイムデータの取得が広がっていくにつれ,経営者の要求がリアルタイムデータを利用した原価管理に変化していくことが想定される。製造業におけるIoT データは生産状況を可視化するために利用されていることが多いため,金額情報に繋げることで現場に近い原価情報を提供できるようになる可能性は高い。しかし,IoT を原価管理に利用するにはいくつか課題も存在しており,達成できている企業は少ないのが現状であ る。IoT データは生産や設備管理目的での試みが多いため,経理情報と突合が容易でないデータが多い。さらに,原価管理目的でのIoT データ分析手法というものが検証される機会が少なく,共有されている知見がないため企業それぞれでデータ分析手法を開発していく必要があり,分析コストが大きいという課題も存在する。 

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© 2019 日本原価計算研究学会
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