価値創造に貢献する会計の現代的意義を,わが国のコーポレートガバナンス改革においてマネジメントコントロール研究が要請されている現状から紐解き,組織における資源配分メカニズムとしての会計の重要性が高まっていることを確認する。価値創造に向けた資源配分メカニズムとして会計が機能しうる理由を,「結び付け」「切り離す」会計の本質に求め,その具体例として,ROIC経営が企業価値と組織行動を切り離し結び付けるものであることを明らかにする。わが国において価値創造会計が,事業ポートフォリオのダイナミックな組み換えを促進することが期待されており,その中心にCFOの役割があることを論じる。
補助部門費の配賦は部門別原価計算において重要な過程であるが,方程式を使うこともあり学習者にとって関門となっている。高校教育の問題もあるが,教科書での説明に省略があり学習を困難にしている可能性もある。そこで,相互配賦法を文字式で記述し,連立方程式を解いて製造部門費を計算する過程を示しながら,学習困難性を明確にする。連続配賦法,連立方程式法,試行錯誤法の同等性も示した。
本研究では,経営者が設定する業績指標が事業部長の資本的支出に与える影響を検証する。減価償却費控除前の利益であるEBITDAが中期経営計画で業績指標として設定される場合,減価償却費が事業部長の責任範囲から除外される。この結果として,事業部長が積極的に資本的支出を行うかどうかを分析した。分析の結果,EBITDAが業績指標として設定される場合,事業部長は積極的に資本的支出を行う傾向が確認された。この発見は,経営者が設定する業績指標が事業部長の投資行動に影響を与えることを示しており,業績指標の選定が組織内の経営行動を誘導するための重要な手段であることを示唆している。
本稿では近年の清酒製造業者にとって経営課題の一つとなっている熟成酒の製品原価計算の問題を多角的な観点から考察する。清酒製造業の原価計算実務において採用例の多い等級別総合原価計算を出発点とし,まずは原価計算制度の枠内で,次いで特殊原価調査に範囲を拡げて計算の改善方法を検討し,実務的貢献を論じる。
本研究は,相互依存性が複雑な創造的チーム活動を支援する公式的なマネジメントコントロールシステムの形式を明らかにすることを目的としている。クリエイティブ産業のロワーマネジャー259名を対象に,イネーブリングコントロールと強制コントロールが集団創造性に与える影響を分析した結果,マネジャーの注意力の集中が両コントロールと集団創造性の関係を有意に媒介していることが示された。
本研究は,余剰生産能力を抱える企業とこの企業の製品を購入していない企業の間で結ばれた余剰生産能力の活用に関する提携の形成過程を協働形成モデルに基づき捉えたうえで,その促進要因を分析した。その結果,両社の間に従来から信頼関係があったこと,提携の形成過程において信頼向上に努めたこと,調整役を果たす人物がいたことが,この提携を促進し成功に導いた要因であった。
一般に,生産ラインの能力は効率性で評価される。しかし,需要変動への対応も求められるなかで効率性という単一指標だけで評価することは適切ではない。本研究では,需要変動への対応能力を評価する指標として,対応できる変動の「幅」と対応に要する「時間」の比で表した「応答性」指標を提案する。また,それを踏まえた効率性の評価手法を提案する。さらに,この評価手法を自動車メーカーの複数の組立ラインで試験的に適用した結果を紹介する。
AIを活用した見積原価計算を研究するため,間接費を基にTDABCで活動原価を見積る銀行業をリサーチした。原価見積には有識者の経験や勘などの暗黙知が影響し銀行も例外ではない。そこで暗黙知を内包させたAI原価見積モデルを構築し効果を検証した結果,適用可能性が確認された。今後は中小企業一般に対するAI原価見積の適用研究の展開が求められる。
本研究では,PMI(M&A後の統合プロセス)のうち,手続的統合にあたる予算管理・業績管理の売り手企業に対するICS利用の効果を検証した。分析の結果,PMIにおける予算管理・業績管理のICS利用は,M&A成果に正の影響を及ぼすこと,その関係は知識移転によって部分的に媒介されることが明らかになった。ただし,媒介効果を調整すると想定した従業員のリテンションは,想定した結果とはならなかった。
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