ダウン症をはじめ,13トリソミー,18トリソミー,ターナー症候群など染色体の数の異常による症候群の多くは,その染色体が異なるにも関わらず精神発達遅滞を呈する.また,近年のゲノム解析技術の進歩に伴い,神経発達障害患者において多数のゲノムコピー数の異常が同定されている.これらのことは,遺伝子の核内配置や高次クロマチン構造が調和の取れた健やかな脳の発達に重要であることを示唆している.そこで我々は,人工的に15q重複モデル細胞を樹立することで,遺伝子の核内配置や高次クロマチン構造などエピジェネティクスによるグローバルな遺伝子発現制御の破綻が自閉症の発症にどの様に関与しているのかについて解析を行った.