子どものこころと脳の発達
Online ISSN : 2435-8819
Print ISSN : 2185-1417
総説
脳機能の多様性:発達障がいの認知神経科学を取り巻く倫理的・社会的問題
千住 淳
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2022 年 13 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

自閉スペクトラム症などの発達障がいを「疾患」としてではなく「脳機能の多様性」として捉え,治療だけではなく社会的少数者としての「合理的配慮」あるいは「多様な人々にとって過ごしやすい社会の実現」を求める動きは,近年勢いを増している.これに伴い,自閉症などの発達障がいを対象とした基礎研究においても,「障害」や「治療」のみに焦点を当てた研究から,当事者の強み・弱みを価値判断なしに同定し,個人の脳機能の特徴にあった,生活の質を高める方略につながるような研究が求められている.本稿では,脳機能の多様性に関する近年の議論を概観し,発達障がいの基礎・臨床研究への示唆について議論する.

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© 2022 大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
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