2022 年 13 巻 1 号 p. 3-8
非侵襲的で空間分解能が良く,解析方法の技術革新が進んだMRIは自閉スペクトラム症(ASD)の病態解明やバイオマーカーとして良く使われる.しかしASDは“スペクトラム”と称されるとおり,特性の重症度・顕著な症状の個人差が大きく・年齢による変化・環境による変化など多様性に富むことから研究結果にばらつきが生じ,全体像の把握を困難にしている.我々の研究室では1)ASDの協調運動障害,2)小脳構造と運動・認知との関わり,3)計画性や言語理解の障害と白質脳構造の関係,4)攻撃性や問題行動と辺縁系の関係,5)言語認知と白質構造について研究を行ってきた.本稿ではこれらの研究成果を紹介しながら,ASDの病態解明をサブタイプ別に検討することの重要性について論じる.