2025 年 16 巻 1 号 p. 2-11
ヒトの遺伝情報はゲノムが担っている.ゲノムは合計約30憶塩基対からなるデオキシリボ核酸(DNA)のセットであり,4種類の塩基すなわちチミン(T),アデニン(A),シトシンン(C)及びグアニン(G)が結合して糸状につながったものであり,46本の染色体に分布する.個体間で異なる塩基配列は多型あるいは変異と呼ばれ,一塩基バリアント(SNV),コピー数バリアント(CNV)などに分類される.これらのバリアントの一部は遺伝的な形質(疾患発症,行動,薬剤感受性など)に影響を与えると考えられており,神経発達症においても精力的に解析されている.これまでに神経発達症に関連する遺伝子の多型(変異)が数多く報告されてきたが,神経発達症の病態形成は複雑かつ多様である.たった一つの遺伝子変異が原因となるメンデル遺伝病タイプもあれば,多数の遺伝子多型(変異)の組み合せの上に後天的要因・環境要因も加わるというタイプもある.