Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
Membrane Bioreactorにおける膜差圧予測モデル構築手法の開発
金子 弘昌船津 公人
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2011 年 10 巻 4 号 p. 131-140

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抄録

生活排水や工場排水を処理し浄化するため,membrane bioreactor (MBR) が広く用いられている.MBR法とは,微生物に排水中の汚濁物質を代謝,消費させ,その後膜によって処理水と活性汚泥を分離する方法である.膜を用いることですべての固形物の流出を阻止できるが,MBRは活性汚泥,難溶性成分,高分子の溶質,コロイド等のファウラントが膜細孔に詰まったり膜に堆積したりする膜のファウリングという問題を抱えている.例えばMBRを定量ろ過運転した場合,このファウリングによる膜抵抗の上昇に伴い膜差圧 (transmembrane pressure, TMP) が上昇してしまう.高いTMPを達成するには多くのエネルギーが必要となるので,ファウラントを除去するための薬品洗浄を定期的に行う必要がある.ただ頻繁な薬品洗浄にはコストがかかるため,適切な時期に洗浄を行わなければならない.そのためMBRにおいては長期的にファウリングを予測する必要があるといえる.そこで本研究では,TMPの上昇と運転条件や水質等のMBRパラメータとの間で統計モデルを構築することを提案した (Figure 1).統計モデル構築手法としては,線型回帰分析手法であるpartial least-squares法と非線型回帰分析手法であるsupport vector regression法を使用した.実際のMBRで測定されたデータを解析したところ,提案手法により高精度のモデルが構築できるだけでなく,将来のTMPを精度良く予測可能であることを確認した(Figures 4, 5).

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© 2011 日本コンピュータ化学会
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