2016 年 14 巻 6 号 p. 179-180
Electric charges are expressed by democratic matrices and unit matrices on the basis of Hueckel MO method.
簡単な量子化学の取り扱いの一つを用いて,基本的な高ENERGIE粒子の電荷(7種)を4 × 4行列(式)を使って表現し算出することが出来たので報告します.電荷は, HUECKEL近似に於ける電子ENERGIEのように扱えると仮定します(下記参照).
粒子の下部粒子として,非相対論的で電荷を担う(半整数のSPINを持つ) FERMIONであるPREON (先駆粒子,量子化学のPAI電子に相当する)があって,HUECKEL法で記述出来ると仮定します. 4個のPREONの軌道を6辺からなる四辺形の各頂点に置いて,その1次結合によって「分子」軌道を作ります(LCAOMO法) [1].その軌道電荷e (軌道ENERGIEに相当)は,1PREON有効HAMILTONIAN hを用いて表されます.今の場合HUECKEL近似なので,HAMILTONIAN hを露わに表す必要はありません.
ここで自己荷電(自己ENERGIEに相当)をa, 隣接頂点どうしが結合している場合の電荷をbとしますと軌道電荷eは,aとbを含む線形な式で表されます.これからe,a,bを要素に含む永年方程式が得られます [1].x = (a−e)/b, y = b/(a−e)と変数変換すると,3個のPREON場合は最終的には下の(3)又は(4)式を得ます.上記HAMILTONIANの中にCOULOMB POTENTIAL ENERGIE 項q1q2/rがあると仮定しますと,電荷をENERGIEと扱えるでしょう.
さて粒子の統一理論で,3世代の荷電LEPTON (軽粒子)の質量の間に7桁ほどにものぼる大変精度の高い質量関係式が小出により発見されました [2,3,4,5].
(1) |
此の式に基づいて,DEMOCRATIC行列と単位行列の和で表現された,真空期待値STRUCTUREが質量を算出する出発点となります.本論では質量ではなく,4×4 DEMOCRATICないし単位行列を用いた電荷の算出に焦点をあてます.
DEMOCRATIC行列とは,各要素が全て1の行列で,
3 × 3の場合
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(3 × 3行列の場合)
3個の電荷を運ぶPREONの相互作用を,3角GRAPHに対応する3 × 3電荷行列で表しますと,
(3) |
(4) |
(4 × 4行列の場合)
QUARKについては,4個のPREON の相互作用を表す4角形(6個の辺を持つGRAPH)を用いると,4 × 4電荷行列は,電荷についての明確な情報を与えます:
非対角項yの(3)式と同じような4次行列を造り,行列式を0と置いて解くとy = 1 (3重根),y = −1/3 となります.2個のLEVELの値の和をとると,3種類の和が出来ます.1 × 3+(−1/3) = 8/3, 1 × 2 + (−1/3) × 2 = 4/3 ,1 × 4 +(−1/3) × 0 = 4.
4個電荷PREONがあるので,4で割って平均をとると,2/3 (u,c,t QUARKの電荷),1/3 (d,s,b QUARKの反粒子の電荷), 1 (陽電子の電荷)となります.非対角に − yを用いると,反対電荷(−2/3, −1/3, −1)を得ます.
対角xの(4)の様な4 × 4行列からは,x = 1 (3重根),x = −3となります.
上と同じようにして,NEUTRINO ( 0 ),陽電子(+1),陰電子(−1)を得ます.
今後PREONが物理的実在なのか,数学的存在なのか調べてゆく必要があるでしょう.今の所実験的には,PREONは確認されておりません.SCHROEDINGER方程式は,通常の形になるでしょう.上に述べましたように,HUECKEL近似なのでHAMILTONIANの中身については,言及する必要がありません.
QUARKは,dとuの2種があり質量もかなり違いますが,本論によると,それらは電荷からみると,PREON4個からなる本来同一の粒子で,その違いは,PREONの「励起状態」の違いによる電荷の違いということになります.
整数電荷を持つNUTRINOと,荷電LEPTON (電子類)については,2個以上のPREONがあれば,何個のPREONであっても(4)式に対応する行列式から,0と+1,−1の電荷を夫々持ちます.これら電荷もまた,複数のPREONの3個の励起状態の差に起因すると言えます. しかし,この2者は,質量からみると極めて大きな差があります. これは,PREONは電荷のみを運ぶからでしょう. 質量は当然電荷と全く別に議論されるべきです.これは,同じ電荷を持っていても,世代が異なれば全く違う質量をもつことから言えます.電子類の場合は,質量は(1)式の様な関係を示します.此の関係の物理的解釈は,かなり困難でしょう.
化学におけるHUECKEL法では,明示はされませんが,核の存在が,同一電荷を持つPAI電子の離散を防いでいます. PREONは,今の所,仮定の存在ですが,PREONを束ねているのは,QUARKを離散させないGLUONみたいなBOSONなのかもしれません.
電荷行列が既存の場の理論の構成要素である,DEMOCRATIC行列や単位行列などに関わるのは判りましたが,更に別の高ENERGIE理論のどこかに関係するかもしれません.
高ENERGIE物理の学習に際して,御教示や論文集送付などの便宜を頂いた小出義夫先生(京都産業大学益川塾・大阪大学大学院理学研究科)に感謝致します.