Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
新設されたMembrane Bioreactorにおける膜抵抗予測手法の開発
小俣 真吾金子 弘昌船津 公人
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電子付録

2016 年 15 巻 2 号 p. 23-31

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抄録

Membrane bioreactor (MBR)とは微生物による汚濁物質の生分解と膜ろ過による固液分離を組み合わせた技術であり,省スペースで水処理を行えるという利点がある.しかし,MBRが抱える主要な問題の一つとしてファウリングがある.ファウリングとは膜が目詰まりする現象であり,膜の透過性能を低下させて運転コストを増大させる.そのため膜を薬品によって定期的に洗浄する必要があるが,薬品による洗浄にはコストがかかるため頻繁に洗浄を行うのは望ましくない.そこで適切な時期に洗浄を行うべくファウリングを予測するモデルの研究が行われている.既往の統計モデルによる予測手法では,MBRが新設直後で測定データが存在しない場合や予測する期間の運転条件と過去の運転条件が類似していない場合は予測困難である.そこで本研究では,ファウリングのメカニズムはあらゆるMBRにおいて共通だと考えられることに着目して,あるMBRにおけるファウリングを他のMBRでの測定データを用いた統計モデルによって予測する手法を提案した.実際のMBRで測定されたデータを用いたケーススタディでは,新設直後のMBRでのファウリング予測を行う際には,そのMBRでの測定データのみで構築されたモデルよりも,他のMBRでの測定データを合わせて構築したモデルの方が精度良く予測できることが確認された (Figures 4, 5, Table 2).

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© 2016 日本コンピュータ化学会
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