抄録
1999年に北浦らにより提唱されたフラグメント分子軌道(FMO)法は、分子系をフラグメントに分割し、フラグメントのモノマー、ダイマー・・・の計算から系全体を計算する方法であり、タンパク質やDNAのような巨大分子系全体を量子論的に扱う計算方法として、近年注目を集めている。本稿では、FMO法の概要と、多層FMO(MLFMO)法に基づいたタンパク質の励起状態計算、及びFMO法に基づいたconfiguration analysis for fragment interaction (CAFI)やvisualized cluster analysis of protein-ligand interaction (VISCANA)といった解析方法について報告し、FMO法の今後について展望する。